心のキョリは1センチ
目を開けるともう男はいなかった。

「痛い…」


全身に走る激痛と吐き気。


命だけは、助かった…。



深呼吸したと同時にとめどない涙が…。


服の襟を掴んだ時に、何かがあたったんだ。


それは、ひろがくれたネックレス。


守ってくれたんだ。


命、守ってくれたんだ。


震える手でケータイを取りだし
電話を繋いだ。


「はい、警察です。
どうなさいましたか!?」



「助けて…」


相手は警察。


初めて、助けて
って言う言葉を口にした。

それからすぐに警察が来て
警察署に向かった。


お茶を買ってくれて、
事情を聞かれるが、
何も思い出せず、
親を呼んでもらい帰ることになった。


お父さん、お母さん、お兄ちゃん。
家族皆で迎えにきてくれたが、
帰りの車の中は、無言。

私の泣き声だけが響いていた。







ごめんね、お母さん。
ごめんね。
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