心のキョリは1センチ
起きたら安定剤。
寝るときには睡眠薬。

私の1日の始まりと終わりは
薬だった。


誰にも言えずに抱えるしかない心の傷…。


「お母さん、学校行ってくるね!!」

そう言って家を出る。




私の世界は明らかに変わっていた…


外に出た途端、
体の震え、吐き気が止まらない。

車が横を通るのも、止まっているのも怖くて、
見るもの全てを疑った。

なんとか駅に着き、定期を出す。

ホームにはたくさんの人。

スーツを着た社会人。
制服姿の学生。
お母さんと子供。

周りの声が雑音にしか聞こえない…。


めまいがして、
息が苦しくなっていくのが分かった。


「苦しい…」


「気持ち悪い…」


立ってるのも辛くてしゃがみこんだ。

「大丈夫?
苦しいの!?」

隣にいた女の人が体を支えてくれて、
駅員さんも駆けつけてくれた。

いろんな人の声が混ざり何を言っているか分からなかった。

意識が、もうろうとする、
聞こえたのは雑音の中で鳴り響く救急車のサイレンの音。

酸素マスクがつけられた。
急に入ってくる酸素が逆に苦しかった。


目を開けるとベッドの上。

横にはお母さんがいた。
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