心のキョリは1センチ
「お母さん、私…」


「葵、過呼吸なんだって、
病院でちゃんと見てもらおう!?」

お母さんは、私の手を握った。



それからは、過呼吸が続いた。


バイト先でも、よく倒れて早退する日が増えていく。

それから、学校に通わなくなった。

外に出歩かなくなった。


人と関わりを持たなくなった。



笑う事も忘れた。


外に出ると震え、吐き気が止まらない。

家にいると、殺される錯覚が止まらない。


「もう、居場所なんて
落ち着ける場所なんてない…
私は一人だ。」


苦しいのに、人前に出ると笑ってしまう。
苦しいのに、素直に頼れない。
強がってしまう自分が大嫌いだ。



誰にも話せない痛みは、
ストレスになっていく。




いつからか
自分に当たり散らすようになっていった。



右手に握りしめたのは
カッターだった。
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