心のキョリは1センチ
「葵、
久しぶりに一緒に買い物行かない?」

次の日の朝、
お母さんは私を買い物に誘った。




服は適当。

メイクもせずにお母さんと家を出て車を走らせる。


「何か食べる!?」

「うぅん、大丈夫だよ。
なんかお腹空いてないみたい…」

むちゃくちゃな作り笑いで返した。

着いたのはよく行くショッピングセンター。


人混みが嫌いな私は、
着いてすぐに帰りたい衝動に襲われる。


いつもなら、服や雑貨を見て回るが
その日は、食品だけ買った。



「よし、帰ろうか!?」


「うん!!」


帰ろうとした時、
耳に入った歌声。







このショッピングセンターでは、毎週のように誰かが歌ったりパフォーマンスをしているが、
私は一度も足を止めることはなかった。


けど、この日は違った。


惹き付けられるように足が止まった。


「お母さん、待って!
見たい…、私、見たい!!」


これが、彼らとの出逢いでした。
< 26 / 45 >

この作品をシェア

pagetop