君のとなり。
*
あの頃の私は
本当の優しさに気付きもせずに
偽りの優しさに騙されていてばかりだった。
あたしは部屋の窓のそばに飾られている写真を見て、写真をかばんに入れた。
写真の中には笑顔のふたり。
君は覚えてますか?
君のとなりにいたあたしのことを―――。
「萌未、もう行くの?」
「…うん、お母さん、行ってくるね。」
あたしは5年経った今でも
あなたを忘れていません。
もう 会えなくなるとしても、絶対に。