隣の席の君。


席替えしてから
1週間過ぎた。



話そうと思えば話せる距離。

でも、
席替えしてから話してない。



やっぱり
隣の席っていう
特権だったのかな?



「なにボーッとしてんの(笑)」

えったんと移動教室に
行く途中だった。

「え?そんなことないけどね~」





あっ。

中村と目が合っちゃった…



最近よく目が合う。
でも
話すことはない。


何を話せばいいのかわからなくなった。





「圭ちゃん!!
 昨日の野球見た!?」

えったん…
羨ましいよ。

「あー見たよ!
 巨人勝ったなぁ。」

えったんは巨人ファン。
中村は野球バカ。

気が合わない訳がない。



あたしも野球知ってればなぁ。

もっと話せたかもしれない。






はぁ…

今日で何度目だって
くらいの溜め息をつきながら

あたしはほかの男子と話してた。

そしたら



「櫻井さぁ・・・
 やっぱなんでもないわ」

「え!?
 なに!?」


うわぁ――――――!!
せっかくの会話のチャンスが…





しかも何言おうとしてたのか気になる。




あたしは伝えたいこと
いっぱいあるけどなぁ…







中村はあたしのこと
どう思ってるんだろ?

好きな人いるのかな?

前に付き合ってたこと
あるのかな?

女の子のどんな髪型が
好きかな?

どんな服装が好きかな?

あたしと話してて
楽しいのかな?

他の子と話してるのと
同じなのかな?

誰にでも可愛いって
言うのかな?





聞きたいことばっかりだよ?

でも、
こんなこと聞けない。


会話にならないじゃん。





そんな言い訳付けて
話しかけることができないの。

< 21 / 35 >

この作品をシェア

pagetop