恋、心、なみだ
「やっといたし…」
そこにいたのは、息を切らし、走ったせいか少し髪や制服の乱れた春だった。
「なんでいるの?」
「なんでって、綾実が教室飛び出すから…」
あぁ、そうか。
あの状況だと春、悪者だもんね。
追わざるを得ないよね。
「ごめんね、もう平気だから先に学校戻って?」
そう言って、手を離そうとしたとき、
「別れないから。」
と春があたしを見つめて言う。
意味分からない。
あたしのこと好きじゃないくせに。
「春、あたしのこと好きじゃないでしょ?だったら付き合う意味ないし。あたし、都合のいい女になる気ないし。」
「誰が好きじゃないって言った?好きじゃないのに二年も付き合わねーよ。」
「だって春好きって言ってくんないし、最近、一緒に遊んでくれないじゃん。他の女の子とばっかり仲良くするし。」