【短編】奇跡のスパイク
中章 試合
「これより、県大会トーナメント第一回戦を始めます。一同、礼!」


草太と中島にとっては最後の大会だった。
これが終われば高校受験の為に勉強漬けになる。

草太にとっては絶対に負けられない大会だった。



【加護中 VS 高山中】

草太率いる加護中は前半から攻め込まれていた。

シュートもFWの吉田が打った1本だけ。

トップ下に構えている草太はシュートを打てずにいた。

GK三上の好セーブでなんとか無失点で保っているが、点を取られるのは時間の問題だった。



そんな中、前半38分、チャンスがまわってきた。

高い位置でボールを奪った草太は、FWの吉田に速いパスを出した。

吉田は相手のディフェンダーを引き付け、もう一人のFW上田にパスを出した。

吉田からのパスを上田はワンタッチで、走り込んできた草太の前に落とした。


「いっけえぇぇ!!」

草太はゴール目掛けてシュートを打った。

が、ボールはゴールポストの上をいってしまった。


「あ、あれ?」

草太は今日おろしたばかりのスパイクをみた。

「やっぱり嘘か…。そうだよな、そんなに甘くはないか。」


結局、前半は0−0で終了した。
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop