【短編】奇跡のスパイク
前半、加護中のシュートは2本、それに比べ高山中は11本。

後半も一方的に攻められるシーンが続いた。

ボランチである中島も前後左右に走らされ、体力も限界に達していた。


数少ない攻撃のチャンスもことごとく潰されていた。

そんな中、0−0で迎えた後半40分、加護中にラストチャンスが訪れた。

ペナルティエリア付近、ゴールから24メートルの距離でボランチの中島が倒され、フリーキックを得た。


ボールの前には草太と中島が立つ。

「これがラストチャンスだな。どうする?草太か?俺か?」

草太がボールに手を触れた。

「俺が蹴る。」

そう言うと、ボールから少し離れ助走をとった。

主審の笛がなった。

草太は思いっきりボールを蹴った。

草太の右足から放たれたボールは相手の壁の上を勢いよく越える。
GKも反応し、右手を伸ばしジャンプする。
鋭い弧を描き、ボールはゴール左隅に突き刺さった。
いままで蹴ったことのないプロの様なシュートに草太自身もビックリした。

草太に走り寄り喜ぶチームメイト達。

このシュートが決勝点となり、加護中は2回戦へと進むことになった。
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