【短編】奇跡のスパイク
「そのスパイクの本当の凄さはシュートではないのじゃよ。光輝く一筋の矢が味方と交わるとき、その威力を発揮する。」

「え?意味がわからないんだけど…。」

老人と話しをしている草太に中島が声をかけた。

「おーい!始まるぞ!」

「あぁ!いまいく!」

草太は老人の言葉を繰り返し考えたが理解できなかった。


「これより、県大会、決勝戦を始めます!!」


【加護中 VS 帝都中】

主審の笛で決勝戦がスタートした。


開始直後からボールを支配したのは帝都中だった。

当たり前だが、帝都中は純粋に勝ち進んできたチーム。

一方、加護中は草太のフリーキックで勝ってきたチーム。

力の差は歴然だった。

前半12分、相手の右MFからのセンターリングをFWが頭で合わせ1点。


さらに前半19分、パスをカットされ約30メートルの独走を許し、GK三上をフェイントで交わし1点。

そして前半終了間際、大会ナンバー1MFの仲田による地を這うような強烈ミドルで1点。


結局、手も足も出ないまま、前半が終わり0−3となっていた。


ハーフタイムになりベンチに引き上げる草太に、敵の一人が声をかけてきた。
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