運命に導かれて
「いや。そんなわけないだろ。そうじゃなくて。」
「フフッ。アリーと中庭で日向ぼっこしてたらジャンさんの姿が見えたの。行き先はすぐにわかったし、そしたらなんだかすごくルカに会いたくなっちゃって……。」
朝だって会ったのに変だよね…。
ニコニコ入ってきたくせにそう呟く羽衣の顔は少し寂しそうで。
ルカは羽衣の手を掴むと抱き上げて自分の膝の上へと座らせた。
「キャッ。」
革張りのチェアがギュッと音をたてる。
「あんまり可愛いこと言うなよ。俺だっていつもいつでも羽衣に会いたいと思ってる。」
耳元に唇をよせて直接響くルカの囁きはどこまでも優しくどこまでも甘くて
ルカが抱き締める腕に羽衣もそっと腕を絡めれば
机上の山積みの書類も淹れたての紅茶も視界には入らなくて
「んっ……ふっ………んっ。」
静かな部屋に響くのはルカが羽衣に送るくちづけの音だけ。