運命に導かれて
羽衣よりも早くルカが反応する。
「私の命令は絶対だ。もう下がりなさい。」
明らかに羽衣に宛てたものではないその声は
先程と同人物とは思えない厳しいもので
ルカは怒りの矛先を扉にぶつけ凄い音をたてて部屋を出ていった。
「すまないね。羽衣。君も下がってよいぞ。アリー。頼む。」
国王の声はまた優しさを含んだものとなり
名を呼ばれた女性がスッと羽衣の傍に立った。
何が起こったのか事態の把握はまだできそうにもなく
ただ深々と頭を下げると羽衣はあまりにも広いその空間を後にした。