運命に導かれて


ルカは、まるで何もわかっていないとでも言うように盛大な溜め息を吐いた。


ルカの頭の中にあるのは1ヶ月後のパーティーではなく


1ヶ月間も羽衣はジャンと練習をするという目先の事実だけだ。



「う〜ん。でもジャンさんとは練習するだけだから。パーティーに出るって決めたからにはちゃんと練習してルカの隣に胸を張って立ちたいの。少しでもルカに相応しい女性になりたいから。それに1ヶ月は無理でもたまにならルカとだって練習できるでしょ?あたしルカに褒めてもらえるように頑張るからねっ。」



「うっ…………。」


こんなにも健気に自分の為と言われては、ルカとていつまでもグチグチ拗ねているわけにはいかない。



もちろん羽衣がそこまで計算していたわけではないが…。



ジャンはそんな2人のやり取りを見ながら、羽衣は無自覚だがそれ故に男心を擽ってしまうことを少し恐ろしいとさえ感じていた。





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