運命に導かれて
羽衣はジャンに促され、リムジンの後部座席、ルカの隣へと腰を降ろす。
助手席にジャンが乗り込むと静かに車が発進する。
さっきまで真っ赤に染まっていた羽衣は
今度は緊張からか顔色をなくしていた。
「羽衣?大丈夫か?顔色が悪い。」
ルカは心配そうに羽衣の顔を覗き込む。
「大丈夫……じゃないかな?ドキドキしちゃって…」
わりと強がってしまう羽衣だが、そんな余裕もない。
「俺がついてる。心配するな。」
――――チュッ―――
リップ音とともに一瞬だけ重ねられた唇。
「クスっ。顔色戻ったな。」
「もうっ。………でも、ありがとう。」
ルカは満足そうに羽衣の頭を撫で続け
羽衣もその手の温かさに心が次第に落ち着き始めていた。