運命に導かれて
緊張というよりは、身分不相応…場違い…な雰囲気に気後れしてしまう。
俺がついてる…なんて言っていたルカも一国の王子なわけで
次々に声がかかり、あちこちに動き回っては挨拶を交わす。
羽衣はそんなルカについて回るわけにもいかず
隅の方で給仕に渡されたシャンパンを口に運ぶ。
「んっ。お酒くさい…。」
1人ゴチリながらも残せずに一気にグラスをあけた。
広いホールに目をやれば、こんなに人がたくさんいるにも関わらず、羽衣の目はルカを簡単に見つけてしまう。
ルカの周りはその容姿からか女性が耐えることがない。
「ふぅ。なんだかムカムカする。」
少量とはいえシャンパンを一気に飲んでしまったし
面白くない光景を目にしてしまったしで、羽衣の気分は最高潮に悪かった。