運命に導かれて
時間にしたらほんの数秒だろうが羽衣は悩んでいた。
目の前の男性は女性なら誰もがうっとりするような笑みを浮かべて羽衣を見つめている。
羽衣がなるようになれと覚悟を決めてその手をとろうとした時
「失礼。彼女は俺のパートナーだ。遠慮してもらおうか。カイン。」
羽衣とカインの間にスッと体を割り込ませるようにルカが入ってきた。
「意外と早かったな。お前がこの可愛いパートナーをほおっておいているようだったからお相手を願い出たのだが?」
「チッ。その必要はない。さっさと戻れよ。」
「おお、怖っ。まるで別人だな。」
羽衣はそんな2人のやり取りを呆然と見つめていたがカインという名前には聞き覚えがあり、それをぐるぐる考え思い出した。
「もしかしてカイン様ってここの?」
「いかにも。僕はカイン・アルバート。今日は我が城へようこそ。お噂はかねがね聞いていたけれど実物はやっぱり美しい。」