運命に導かれて
「あ…あのっ。あたし何が何だか…。何故こんなに優しくして頂けるのか……。あたしは例えどんな理由であれこのお城に侵入してしまったというのに…。」
追い出されることはあったとして
こんなに至れり尽くせりなんて。
「国王様のお言葉は絶対です。羽衣様が戸惑われるのも無理はないですがどうか遠慮などなさらないで下さいませ。」
「ですが…。アリーさんにもとても申し訳ないです。国王様の命令とはいえあたしなんかと一緒にいることになってしまって…。」
突然やってきた何者かもわからない羽衣のメイドを任命されているアリー。
羽衣はそのことも気掛かりでならなかったのだ。
「羽衣様。私のことなど気にかける必要はないのです。それに私はこうしてあなたのメイドになれて嬉しく思っているんですよ。それから私はあなたに仕える身。アリーと呼んで下さい。もちろん敬語もなしでお願いしますね。」
メイドにはメイドの立場があるのだろうか。
最後の言葉は念を押すよう強く言われ
羽衣はわからないように肩をすくめると
静かに頷いた。