運命に導かれて
「あの……そうとは知らずごめんなさい。あたしは羽衣と申します。今日はお招きありがとうございます。」
羽衣はペコッと頭を下げ、カインが握手を求めて差し出した手を握ろうとしたが
「羽衣っ。お前は名前を易々教えた挙げ句に握手なんてするな。」
怒声と共に差し出そうとした手をルカに握られる。
「ルカ。そんなに大きな声を出したら羽衣ちゃんが怖がるだろう。全くそんなにも余裕がないとは……。まぁわからなくもないが。ククッ。おもしろい。」
「気安く名前を呼ぶな。ほら。早く行けよ。」
ルカはまるで犬でも追い払うようにカインを追いやると羽衣を優しく抱き締めた。
「……ルカ?」
「ごめん。俺、アイツが言うように余裕ない。ここに来てる男どもがみんな羽衣を見るし、やっと羽衣を見つけたらカインといるし…はぁ。かっこ悪っ。」
抱き締めながらも、しゅんとうなだれたルカは羽衣の肩にコトンと顎をのせる。
「もしかしてヤキモチ?」
「そうハッキリ言ってくれるなよ。」
「なんで?あたしすごく嬉しいよ。あたしだってルカの周りに美人さんばかり寄っていくから寂しかったもん。」