運命に導かれて
「上出来。1ヶ月でここまで踊れるなんて驚いたよ。」
「ありがとう。ルカの為に頑張ってよかった。でも…ルカとだからかな。練習の時より気持ち良く踊れたよ。」
それは羽衣の素直な気持ちだった。
ジャンのリードが下手だとかではなく、寧ろジャンのリードだってそれは素晴らしいものだったが
ルカのおかげで緊張することなく純粋に楽しめたのだ。
「羽衣は俺を喜ばせるのが上手いな。」
それからのルカは終始機嫌が良く、今度は忙しそうに挨拶に回るカインを羽衣の隣でいい気味だ、と言わんばかりの表情で見やると、未だ盛り上がり続ける会場を後にし帰路へ着いた。