運命に導かれて
「待てっ。羽衣。今日はってどういうことだ?」
長い廊下。
カインも思わず足を止める。
「だって、いつもはルカがいない時にいらっしゃるから、あたしじゃカイン様の相手は勤まっていないんだもの。」
カインは羽衣の言葉を聞いて頭を抱え振り向くことさえできずにいる。
「なるほどな。そういうことか。」
全てを察したルカは羽衣に部屋に戻るように告げるとコツコツと足音を響かせてカインに近づく。
「ほら、あれだ。お前が留守の間お姫様はさぞ退屈だろうと思ってだな。」
カインが咄嗟に振り向いて話始めた時にはルカはもう目の前で、鬼の形相を浮かべていた。
「それはありがたい、と感謝すべきか?いらん心遣いだな。羽衣は諦めろ。俺は手放すつもりはない。少しでも変な気をおこしたらその時はお前の国は滅ぶと思え。」
「……何言ってるんだよ。冗談だろ?」