運命に導かれて



「羽衣。カインのことなんだが……なぜ言わなかった?」



ルカは説教といえどキツくならないように慎重に話しだす。



「え?カイン様のこと?あたしはルカは知ってるものだと思っていたけど…だからこそなんとかお相手しなくちゃって……。」


何か違った?と首を傾げる羽衣。


「俺は自分が不在中は城に客は通さない。それにカインは明らかに羽衣目当てで来ていたんだぞ。」


怒気が含まれる声に羽衣はビクッと肩を竦める。


「ごめんなさい…。あたし…本当にごめんなさい…。」


大好きなルカに怒られて羽衣は涙目だ。


「ごめん。泣くなよ。泣かせたいわけじゃないんだ。ただ不安なんだ。羽衣はみんなを笑顔にする。優しい気持ちにする。だからみんな羽衣が好きになる。それに比べて俺は……」



説教に来たはずのルカは全てが自分の自信のなさからだと気づいて肩を落とす。




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