運命に導かれて
第12章
穏やかに毎日は過ぎ、こちらの世界も寒い季節になっている。
元の世界とここが同じように時間が流れているのか羽衣にはわからないが、幸い季節は同じらしいここの日付に習えば、もうすぐ羽衣の17回目の誕生日だ。
「パパとママ元気かな…。」
元の世界には戻れない…戻らないことを覚悟したとはいえ、自分がこの世に生を受けた日に思い浮かべるのは両親のこと。
ルカが公務が予定より長引いてまだ帰城しない為、羽衣は久しぶりにバルコニーに出て1人月を眺めていた。
肌を刺すような寒さ故に空気は澄み、月も美しくその姿を見せている。
羽衣はブランケットを羽織っていたものの、あまりの寒さにバルコニーから早々に部屋に戻ったが、ベッドに入る気にもなれずに大きな窓辺に立ちすくむ。
17歳。
元の世界ではまだまだ未成年。しかも高校3年生という大切な時期だ。
ルカとひとつ年齢差が縮まるとはいえ、たいした勉強もしていないのに隣にいることが羽衣には悪いことのようにさえ感じてしまっていた。