運命に導かれて
「ルカ様!!」
「アリー。まだ休んでいなかったのか?」
ルカが廊下に出ると遅い時間だというのにまだメイド服に身を包んだままのアリーがそこにいて
「日中からなんとなく羽衣様のご様子がおかしかったので、一応早々にベッドには入られたのですがきちんとお休みになられたか気になって…。でもルカ様がいらして安心しました。」
「様子が変とは?」
「ええ。なんとなく元気がなくて…。無意識でしょうがため息を何度も…。もうすぐお誕生日というのが関係してるのでしょうか?」
アリーの言葉を聞いてルカは驚愕する。
元気がないことにでもなく、ため息をつくことにでもなく。
もちろんそれも気にはなったが。
「誕生日?」
「ええ。明後日お誕生日ですから。」
「ああ。そうか。……うん。そうだな。明日それとなく様子を伺ってみる。」
大好きな羽衣の誕生日という大切な日を、今まで知らなかった自分の愚かさにルカは頭がクラクラしたが、それを悟られないようにアリーと別れると急いで自室へと踵を返した。