運命に導かれて
2人が出会った時、ルカは既に誕生日を終えていたし特に誕生日だからと思う年齢でもなかったから、誕生日という言葉に疎くなっていたのかもしれない。
過去の女性関係でも相手に興味がなかった為誕生日など聞きもしなかったルカは相当ひどい男だっただろう。
だが羽衣はルカにとって唯一惚れた生涯守りぬきたい大切な女性だ。
それなのにこの世に生を受けた大切な日をリサーチしていなかったのだ。
「気付いたのが誕生日前で良かった。偶然とはいえアリーに感謝だな。」
ルカは自室のベッドに横になると、明後日の予定を頭の中で確認する。
幸い公務は午前中にひとつだけ。執務は有能な執事がうるさいだろうが後回しにすると決めた。
プレゼントは明日用意するとして……
ルカの脳内は遅れを取り戻すべく、フル稼働でプランを模索中だ。
だが…一体何を考えため息等つくのか、まさか自分が誕生日を聞かなかったからとは考えにくく、ただ聞いたところで何でもないと返されるのは目に見えていて
先程の、窓辺に冷たくなるまで佇んでいた羽衣を思い出し、例え聞けずとも明日の夜は傍にいて、日付が変わったなら一番に祝おうと決めた。