運命に導かれて
隣でじっと話を聞いていたルカは呆れたように溜息を吐くと羽衣の目を真っ直ぐに見つめた。
「俺が答えを出してやるよ。羽衣の両親には勿論俺も感謝してる。こうして出会えたんだからな。でも例え帰る方法がわかったとしても帰してやることはできない。だから毎年祈るよ。羽衣の誕生日を祝うと共に両親に感謝の祈りを捧げる。それから…次のはもっと簡単だろうが。羽衣の居場所は俺の隣だけだろう?不満か?」
少々荒い物言いとは裏腹に優しい眼差しを向けられ、羽衣はブンブンと首を横に振るのが精一杯だ。
本当は誕生日を迎えたらのつもりだったが、そういう状況じゃなくなったから……と前置きしたルカは羽衣の足元に跪いた。
突然のその行動に慌てる羽衣をルカは軽く制する。
「羽衣。俺は羽衣を愛してる。さっきはあんなふうに言ったが俺の居場所も羽衣の隣だけだ。結婚しよう。ずっとずっとこの先も永遠の愛を羽衣だけに捧げるから。俺と新しい家族を築いて欲しい。」
羽衣はまた大粒の涙を溢れさせた。
「……羽衣?返事は?」
そんな羽衣を見れば返事等聞かずともわかりきってはいるが、ルカだって確認はしておきたい。
「は……はいっ。喜んで。」
その一言を聞くなりルカは立ち上がり、ソファーに座る羽衣を抱き上げるとおでこに頬にそして唇にとキスの雨を降らせた。
「…ンッ。やっ。ルカぁ。くすぐったいよぉ。」
「俺のプリンセスはやっと笑ったな。」
そう。
気づけば涙の後は残るものの羽衣は笑顔を浮かべていた。