運命に導かれて
再びソファーに腰を下ろせば視界に入るワゴン。
「せっかくの紅茶冷めちゃったよね?」
「俺が初めて淹れたっていうのにな。」
どちからともなく顔を見合わせて笑いあう。
そんな空間は暖かい穏やかな空気に包まれていた。
羽衣は遠くの時計が厳かに時を知らせるのを微かに聞きながら
耳元で囁かれたハッピーバースデーの言葉に顔を真っ赤に染めていた。
勿論ルカは羽衣がそうなることくらいは想定内だったが、そのあまりの可愛さに自分まで顔を赤くさせてしまったのは完全なる想定外の出来事だった。
「そうだ。これ羽衣に。」
顔の火照りを隠すように下を向き、ジャケットのポケットから小さな箱を取り出す。
「なに?」
「右手を出して。俺からのプレゼント」