運命に導かれて
羽衣が掌を広げておずおずとルカの目の前に出せば、くるっと返されて次の瞬間には薬指に納まるキラリと光るダイヤモンド。
ハートのモチーフの中に小さくも強い輝を放つそれはとても羽衣に似合っていた。
「羽衣はゴテゴテしてるのより絶対こっちが似合うと思って。」
「………ルカが選んでくれたんだ?嬉しい。あたしには勿体ないくらい素敵な指輪。ありがとう。」
驚きで大きな目を更に見開いて、そしてにっこり笑う羽衣を見てルカも満足気だ。
「さすがに大事な人に贈るものを、いくら優秀とはいえジャンには任せられないだろ。」
「あたしすごく幸せだよ。ルカ大好きっ。」
羽衣は隣に座るルカの首に腕を回しおもいきり抱きついた。
「うわっ。……まったく。」
口では悪態をつきながらもルカの腕はしっかりと羽衣の腰に回されていて、顔も弛みっぱなしだ。
「なぁ。羽衣。俺も凄く幸せだけど、まだ欲しいものがあるんだ。」
「ん?なに?あたしが買えるものなら遠慮なく言って?」
こんな雰囲気になっても尚羽衣は鈍い。
ルカは未だ羽衣を抱き締めたままの腕に少し力を入れると耳元で囁いた。
「羽衣が欲しいんだ。心だけじゃなく。」