運命に導かれて
一瞬腕の中の羽衣が強張った。
「嫌か?」
ルカは抱き締める腕を弛めると羽衣の顔を見つめる。
ここまで言われて初めて状況を意識した羽衣はほんのり顔を染めながらもどこか戸惑いの表情を浮かべている。
嫌か?と問われればそうではなく首を横には振るも、ルカが気にするのは羽衣の表情で。
「無理強いしたいわけじゃない。今夜はもう遅いから寝よう。俺はここで寝るから羽衣はベッドを使え。」
そう言って頭を優しく撫でる。
羽衣はそんなどこまでも優しいルカのどこか切ない顔を見て胸が締め付けられるのを感じて無意識にルカの洋服を握り締めた。
「羽衣?」
「……あ、あの。あたし……その…初めてで……だから………」
「知ってる。だから無理強いはしない。ごめんな。いきなり。」
「違うのっ。……怖くないって言われたら嘘になっちゃうけど嫌じゃない。あたしもルカが欲しいよ…」
「っ…あぁ〜もう。」
ルカは髪の毛をワシャワシャと掻き、盛大な溜息を吐く。
「人がせっかく我慢してるのに。もう後には引けないからな。」
羽衣は自分がどんなに大胆な誘い文句を言ったかなんて勿論自覚無しだろう。
ルカのなけなしの理性を崩壊させるには十分な破壊力だった。
羽衣の膝裏に手を差し入れ所謂お姫様抱っこの状態にすると、ゆっくりとベッドに寝かせる。