運命に導かれて
ルカも心のない悪人なわけではない。
羽衣の涙をみて舌打ちをすると部屋から出て行った。
「羽衣様っ。」
ルカと入れ替わるように部屋に入ってきたアリー。
羽衣の涙をみて何度も頭を下げた。
「アリー。頭をあげて。あたしは大丈夫だから。でもちょっと疲れちゃった。今度こそ少し眠ってもいいかな?」
羽衣はアリーの返事を待たずに崩れるようにソファーに腰を降ろした。
するとアリーの耳にはすぐにスースーと寝息が聞こえてくる。
慌ててブランケットを羽衣の身体にそっとかけた。
羽衣が目を覚ましたのはもう空が赤く染まり始めた頃。
昨晩一睡もしていないのだから無理もない。