運命に導かれて
「アリー。随分と眠ってしまったみたいでごめんなさい。」
アリーは羽衣が目を覚ましたのを確認すると
甘いミルクティを入れて持ってきた。
「謝らないで下さい。いろいろありましたから疲れて当然ですもの。」
「アリー……。あなたはあたしがこの世界の人間ではないと信じてくれる?」
その目にたくさんの不安と少しの希望を宿して羽衣は問う。
「もちろんです。羽衣様とはつい数時間前にお会いしたばかりですが私には羽衣様が嘘をついているようにも、嘘をつく人間にも見えませんから。」
アリーは穏やかな笑みを浮かべていた。
「アリー。あたし本当にわからないことばかりで怖いの。でもこうしてアリーが傍にいて信じてくれて、それだけでとても心強いの。国王様はこんなあたしによくしてくれて優しい方ね。あたしは早く戻る方法を探すけれど国王様には本当に感謝してる。」
「羽衣様。」
羽衣にとって何もわからないこの世界。
アリーがメイドになってくれて本当に嬉しかった。
戻る方法を探すといっても戻れるかわからない恐怖。
でも羽衣はこうしてアリーと時間を共有し一人じゃないことで不安が和らぐのを感じていた。