運命に導かれて
あのキレイな月夜が嘘のように雨が降り続いている。
羽衣は部屋に閉じ込められているわけでもないのに
部屋から一歩も外にでることはなく
相変わらず食事も取れない日々は続いていた。
口にするのはスープと
アリー特製のミルクティとクッキーを少しだけ。
ここに来てまだ1ヶ月と経たないのに
羽衣の細い身体は更に細くなったようで
アリーは気が気でない。
羽衣はアリーに心配をかけまいと笑顔でいるが
その笑顔は痛々しく見ているのも辛い程だ。
国王に羽衣の様子を伝えると医者に診せるように言われたが
当の羽衣がそれを頑なに拒んでいた。
「このままでは羽衣様は倒れてしまう。」
アリーの呟きは切羽詰まったものだった。