運命に導かれて
その同時刻。
ルカもまた久しぶりの月夜に中庭へと赴いていた。
「あいつ……また……。」
無意識に見上げたバルコニー。
ルカの視線は久しぶりに羽衣の姿を捉えていた。
やはり自分に気づくことなく月を眺める羽衣はまたあの日のように涙をこぼしていた。
数日前と同じ光景。
ただ違うのは羽衣があの日よりも明らかに衰弱しているということと
ルカが向ける視線に怒りの色は含まれていないこと。
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