運命に導かれて
第5章
「きゃっ。ルカ様………?」
翌朝バルコニーに居たはずの羽衣が目覚めたのは柔らかなベッドの上。
ここに来て始めて深く眠れた夜だった。
しかし目を開けた羽衣は信じられない光景に
額から嫌な汗が吹き出し大きな声を出していた。
「ん……っ。起きたのか?」
ルカは羽衣とキツく手を繋いだまま上半身をベッドに預ける形で眠っていた。
「ルカ様……何故?」
羽衣は勢い良く起き上がると疑問を口にした。
「なんでって、羽衣が手を離さなかったからだろう?」
羽衣はまだ繋がれている手を見せつけられ
しかもさらっと名前まで呼ばれたことに赤くなる頬を隠せない。
何か言葉を発しようにもその口はパクパクと空をきるばかり。