運命に導かれて
第2章
「おい。お前。ここで何をしている。」
突然頭上から低い声がかかり羽衣はビクッと肩を揺らした。
「何をしていると聞いているんだ。」
更に低い怒声がし、状況把握ができないままに羽衣は恐る恐る顔をあげた。
「ここ……どこ?」
辺りは闇に包まれ始めた広い庭園。
勿論見たこともない景色だ。
「どこ?だと?ふざけるな。クレモント家の城内に侵入しておいて、まさかただで済むなどと思っていないだろうな?」
目の前の男は怒りが頂点に達しているようだ。