運命に導かれて
羽衣が眠りについた数分後。
ガチャガチャと扉が音をたてた。
ノックもせずに部屋に入ってくる人物をアリーは一人しか知らない。
「ルカ様?」
アリーは扉の外へと呼び掛ける。
「アリーか?珍しいな。鍵なんて。開けてくれ。」
「申し訳ございません。羽衣様は既にお休みになっておられます。明日またいらして下さい。」
扉を開けることなくアリーは淡々と事実を告げる。
「こんなに早く?どこか体調でも悪いのか?」
ルカは途端に心配そうな声になる。
しかしアリーもまた先程の光景は目にしていた。
「とにかく今日はお開けすることはできません。明日の朝ルカ様がお見えになったこと羽衣様にはお伝えしますから。」