運命に導かれて
「日本を知らないなんて……。」
羽衣の頭はますます混乱していく。
「今夜はもうよい。明日然るべき処置を取らせてもらう。覚悟しておくんだな。」
投げ捨てるように言葉を吐くと男はくるりと身を翻し去っていった。
そしてその方向から一人の男性がやってくる。
見た目からして執事とでもいったところだろう。
あまり手荒なことはしたくありませんので…
そう呟いて羽衣を城内へと連れていった。
城内は中世のヨーロッパを彷彿させるようだ。
最上階まで階段を登り
重い扉を開けると
そこは狭い部屋だった。
小さな窓が飾り程度につけられてはいるが
外からは頑丈に鍵をかけられ
鉄格子がないだけで牢屋さながらだ。