運命に導かれて
大きなベッドに横たわる布団をすっぽり被った小さな塊。
「羽衣様?体調でも優れないのですか?」
「…………。」
「ルカ様から様子を見てくるようにと言われたのですが……。」
「ルカ様から?」
ルカの名前を出した途端に小さな塊が反応する。
とはいえ、布団越しのそれはともすれば聞き逃してしまう程の微かな声で。
ジャンはなんとかキャッチしたその声に少しホッとした。
「ルカ様は今執務が溜まった状態でして。執務室を離れることができずにおります。ですが帰城して以来顔を見ていない羽衣様のことを大変心配しておられます。ですので代わりに私に様子を見てくるようにと。」