運命に導かれて



「羽衣の涙はできれば見たくないし、涙を流させてしまうことも辛い。俺は勝手だな。羽衣を散々泣かせたのに。今は羽衣の笑顔が見たくて仕方がないんだ。」

「差し出がましいのは承知の上ですが、羽衣様にお気持ちを伝えることはなさらないのですか?」


こんなにも溢れる程の想いを胸に抱いているというのに。


「ん?俺がこんなふうに想っていたところで羽衣にはいい迷惑だろうからな。……なんてのは言い訳でこんな気持ち俺にはなかったものだから自信がないんだ。国を納める自信なら有り余るほどあるのにな。」


自嘲気味に笑うルカ。


本当にルカは変わった。こんなに人間くさいルカを誰も知らなかったのだから。





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