運命に導かれて
「羽衣っ。」
元々ノックをする習慣なんてない。
感情のままに扉を開ければいつもノックを促すアリーはそこにはおらず
ベッドに横たわる小さな身体。
ルカが来たことにも気づかずにスースと寝息をたてている。
「眠ってるのか……。」
ルカはそっとベッドに腰をかけると羽衣の頭をゆっくりと撫でる。
こんな時間に寝るなんて夜眠れていない証拠なのだろうか。
しばらくそうして頭を撫でているとアリーが戻ってきた。
「ルカ様……。」
驚いたアリーはつい大きな声になり慌てて口を塞ぐ。
「驚かせてすまない。羽衣はどのくらい眠っているんだ?」
ルカは物音にも身じろぎひとつしない羽衣に視線を落としながらアリーに訪ねる。