運命に導かれて
「もう1時間程眠っておられます。本人は寝てると仰っていますが、夜あまり眠れていないようで…。」
「…そうか。アリー今日はもう下がっていい。俺がここにいるから。」
「ですが……。」
アリーとて羽衣が心配なのはよくわかる。
羽衣が寝不足だと言っているアリーの顔もまた同じに見えた。
「こうなったのは俺の責任だ。アリーも辛かっただろう。すまなかった。だから今日は俺の言う通りにしてくれないだろうか。」
何がこうさせているのかはわからない。
ただ一使用人のアリーに対し王子であるルカが頭を下げたのだ。
アリーはそれ以上に深々と頭を下げると、2人の想いが重なり合うことを祈って自室へと戻っていった。