運命に導かれて
最早羽衣の声は涙声だ。
「羽衣っ。」
ルカは羽衣と距離を縮めようとするが羽衣に拒まれる。
「来ないでっっ。あたし辛いの。ルカ様といるのが辛い……ック。も…っうきっと前の世界には帰れない。そんなのなんとなくわかるっ。それ…なのにっ…こんな近くで叶わない想いを胸に押し込めて、い…っつも溢れだしそうなのにぃ。……ック。でもルカ様の幸せを奪うようなことだけはしたくないんだもんっ。ウウッ。……ック。」
羽衣はもうとめどなく溢れるその涙をとめるすべなど知らなかった。
泣いてはダメだと思えば思うほどに溢れ出る涙は、羽衣の頬や洋服までも濡らしていった。