【短編】十一屋(トイチヤ)~ナニワ金融道~
「なぁにが営業妨害や」


朝日喜の聞き覚えのある声がして、


「あっ…」



城頭八が現れた。



堂々とした趣きで、
ゆっくりと入ってくる。



「ま、…

これはこれは…
城頭八さんやないですか」


中年男は、
苦笑い気味に
急におとなしくなった。



「営業妨害というなら、おたくさんでしょう?
うちの大事な客、
横取りしたら困りますねぇ~

いかんいかん」


城頭八は、中年男をたしなめる様に言った。


そして、
朝日喜に視線を移す。


「何してんの」

「あっえっ…」

「あっえって、

ほんま まぬけに」


そう言いながら、
城頭八は、
朝日喜の手元の紙を手に取った。

そして、
ゆっくりと眺める。
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