【短編】十一屋(トイチヤ)~ナニワ金融道~
暗い階段を降り、
ビルを出る。



照りつける太陽に目を細めながら、



「はぁ…」



輝かしい太陽とは逆に、
肩を落としながら、
朝日喜は
家路へと歩き出した。




「すみませんっ」


傍で声がしたが、
自分には関係ないだろうと
朝日喜は、下を向いたまま歩く。



「あの、すみませんっ」



再び声がして、



「…え、はぃ?」



自分の顔を覗く人の気配に、
朝日喜は、顔をあげた。


見ると、

目の前に
グレーのスーツ姿の

優しそうな顔立ちの若い男性と
あさ黒い中年の男性が、
ニコニコしながら立っていた。
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