シャイニング・ライト
プロローグ
一人の男が頭を抱え、持っていた報告書を見つめていた。

 「天界36番特別区第5収容所にて、悪魔5匹が脱走、その際、止めようとした係官2名死亡。至急捕獲願う」

 「脱走中の悪魔、未だに捕獲できず、各地区の取り締まりS級の厳重体勢を要請する」
 
 「―脱走中の5匹の悪魔、人間界に逃走を確認。これにて、特別警邏隊を人間界に派遣し、悪魔を捕獲する。各方面での詳細な指示を

 願う」この3枚の報告書を見た男は、大きくため息をついた。

 ただ、丸腰で学校の校内を歩く事が、命懸けの行為だった。彼は危険と知りながらも、逢魔に立ち向かっていた。薄暗い校舎を今日も

 鋭い眼を光らせ歩いていた。晃はいつもピリピリとした緊張感の中にいた。なぜならば、生と死の中で彼は身を置いていたからだ。

校舎の隅で何かをしている黒い影が、晃

の目に止まった。偶然が偶然を呼んだのだ。一面血の絨毯が広がる上で、始めてみるグロテスクな悪魔が(寄生している男子生徒から頭だ

けはみ出している)、悪魔の部分が一人の女生徒の腹を突き破り、頭をかじってはこちらを見ている。腹から飛び出た腸が、醜さと恐怖を

増幅させた。
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