シャイニング・ライト
 -入学して間もない頃、レポート提出をすっかり忘れて、やむなく放課後遅くまでか

かって仕上げた頃には、空は暗闇が夕焼けをほぼ丸呑みしようかという感じで薄暗くな

っていた。そして、校舎まで聞こえてくる豪雨の音。かなり大降りの雨が降っていた。

 昇降口まで出ると、外の半端じゃない雨の激しさが見て取れた。その雨空を見上げる

一人の女の子。彼女の隣-といえば聞えはいいが、数メートルの距離を空けて、激しく

振る雨と隣にいた可愛い女の子の横顔を覗いていた。

 「凄い雨ですね」
  
 隣にいた彼女が声をかけてきた。チラチラ見ていたのを咎められるのかと、少しあた

ふたして「そ、そうだね」と声をうわずりそうになりながら、相槌を打った。

 「天気予報見てこなかったから、傘持ってくるの忘れちゃって。止みそうもないです

よね」

 「こんな時間まで遅くならなきゃ帰れたんだけどね。僕も傘持ってこなかったです

よ」晃は緊張に震えながら答えた。すらすらとこの台詞が出たこと自体奇跡だと思っ

た。

 「あと五分でバスが来るんですけど、この雨五分で止むと思います?」

 と、彼女は湿った空を眺めながら、こっちにニッコリと微笑むように言った。彼女

の、その微笑でやられた。胸を突かれた。一目惚れ。本当にこんなことがあるんだ。
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