シャイニング・ライト
「えっ・・・い、いいよ。あなたが濡れちゃうじゃない」桜井は手を振りながら言っ

た。

 「いいよ、大丈夫だから。あっ、バス来ちゃったよ、早く行かないと遅れるよ。ほ

ら」

 晃は、強引に傘を桜井に握らせて豪雨の中に飛び込んでいった。

 「ありがと!ゴメンね、また明日」

 と背後から桜井の声が聞えた。温かい言葉だった。晃の心にはその言葉が胸いっぱい

に染み渡った。

 それからというもの、晃と桜井は会う度に話をするようになった。時には談笑したり

という事があったが、今となってはそれも、もう

 昔の話。風の噂で彼女が誰かと付き合いだしたと聞いてから、晃は桜井をわざと避け

るようになった。子供のような嫉妬心。のたうち回りたくなるような、いじらしい切な

さがこみ上げてきた。それから一年以上も月日がたっていた・・・。

 
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