シャイニング・ライト
晃は、スッと立ち上がって屋上を飛び出した。もう彼女の前で醜態を晒す事が耐えら

れなかった。ひたすら走った。階段を駆け下り、

 そして校外へと駆け出した。

 急に雨が降り出した。激しい豪雨のような雨。横殴りのような凄まじい雨は、一気に

晃の服をびっしょりに濡らしつくす。-情けない。

 なんて情けないんだ、僕は。自分の情けなさに思いっきり涙が出てきた。それも雨に

流された。

 三十分ほど雨に打たれて、やっと家に着いた。幾らかの安堵感が全身を巡る。鍵を開

けて、家の中へ入る。両親は共働きのため家には

 誰もいない。兄弟なしの一人っ子。こういう時だからこそ家に誰もいないことが助か

った。

 凍えた身体をシャワーで温める。身体の冷たさがシャワーとともに流れてゆく。けれ

ど、心のわだかまりは流れてはくれない。

 浴室の鏡に映った自分・・・。このルックスのせいで幾つもの恋は破れ、敬遠され、

醜い者代表などと勝手なレッテルを貼られた。

 とにかく醜い。鏡を見るたび絶望にもとれる、胸の苦しさを覚えるのだ。それは今も

昔の変わらない。増えたにきびをいじりながら、

 鏡を覗き込む。一体どうすればいい?死にたくなる。男子アイドルのようなルックス

が羨ましい。そのルックスだけで、恋愛はたやすく、自信に満ちた生活を送れし、何よ

りこんな惨めな思いをしなくてすむ。顔の良し悪しだけで、人生が決まってしまうの

だ。大袈裟かもしれないが、人は性格より顔で、その人そのものを判断しがちだし、悪

ければ悪いほど陰口を叩かれる。何もいいことなんてない。晃の心には冷たく黒い物が

うごめいていた。シャワーを浴びた晃は、タオルを巻きつけて浴室から出た。
 

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