シャイニング・ライト
 晃は決心していた。ブレザーの内ポケットには、今までの中里や金沢達による最悪な

日々を書き殴った遺書が入っている。僕が死んだ後、この遺書が見つけられそれはクラ

スに、市内、県外と大きく広がっていって、マスコミにも取り上げられ、当の中里達も

世間から弾劾されるだろう。

 そんな事を考えながら、屋上に続く階段を上がり、屋上の扉を開けた。まだ明るい太

陽が瞳に眩しい。眩しい陽光を遮った先には、既に先客がいた。-桜井だった。

 仕方なく、晃は扉を閉めようとすると「伊藤君、待って!」と桜井がこちらに気づい

たのか、大声で声をかけてきた。晃は、ビクッとして扉を閉める手を止めた。

 「ちょっと・・・いい?話があるの」

 と、桜井が言った。桜井の表情には、どこか暗い影が写ってる様に見えた。

 「別にいいけど・・・何?」

 「ん・・・伊藤君今日は何しに屋上に来たの?もしかして・・・昨日と同じようなこ

とをしに来たんじゃない?」

 「・・・・・・」

 「昨日はホントビックリした。屋上に行ったら伊藤君がいて、フェンスによじ登って

るんだもの・・・それで私が止めた」

 「だから何?人が死ぬ決意を決めるような苦しみは、桜井には分かんないんだからさ

ぁ」

 晃は吐き捨てるように言った。どうせ桜井みたいに顔がよくて、友達が周りにいて、

彼氏もいて幸せな環境にうずくまっている様な人間に何も言われたくなかった。桜井を

好きだったからこそ、その思いは尚更だった。
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