シャイニング・ライト
-無理だね。俺にはこの現実には一光の希望も見えない場所。ここでは何かに脅さ

れ、壊され、消されていくだけだ・・・。もう自分の居場所は何処にもないんだ

よ・・・。

 「無理さ。もうどうしようもない所まで来てる。今止めてもいつかは死ぬさ。なんな

ら君の前で死んでやる」

 「馬鹿な事言わないで!軽々しく死ぬだなんて」

 「昨日は軽々しく死のうって考えてたのは君もじゃないか」

 「・・・・・・そう思ったけど・・ね、考え直して!まだ人生はまだまだあるんだ

よ。それに他人のせいで自分が死ぬなんて馬鹿らしいじゃない。逃げちゃだめだよ」

 「君はいいさ、これからだってまだまだ希望がある。けど僕にはない。そんな棘の道

をたどる工程と辿るなんてごめんだね」

 「なんで棘の道だって決め付けるの?未来は自分で変えるものでしょう?人に決めら

れず、自分で築くものモノじゃない。後姿なんて見せちゃだめだよ。それに晃君みたい

ないい友達を失うのは嫌だよ。戦おうよ、現実と。生きなきゃ、生きてればいい事

だってあるはずだし、生きててよかったって思う日が絶対来るよ。一緒に生きよう」

と、桜井は手を差し出した。

 「・・・・・・俺に出来んのかな」ボソッと晃が言った。

 「何言ってるの?当たり前じゃない」

 「・・・・・・」晃はしばらく考え込んだ後、桜井の手を握った。

 「分かってくれたのね。ありがとう」

 二人は夕暮れになった空でしばらく手を握り合った。

 「さあ、もう帰ろう。陽もだいぶ落ちてきたし」

 「・・・・・・そうだな。帰ろう」晃の声は聞き取れないほど小さいものだった。

 「・・・まだ変なこと考えてるの?」不安になった桜井が、晃の心中を察するように

言った。

 
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