シャイニング・ライト
[うぐっ・・・。や、やめてくれ・・」

「何だって?もっと大きい声で言ってくれよ、なあ?聞こえねぇんだ」
  
  と、胸倉を掴み睨みを効かして、中里は言った。

 「・・・・・・。」中里の睨みにびくついて、何も口に出せない晃に、中里の周りに

いた仲間達がいやらしく笑い出した。

 「やっぱりだらしねぇ奴だな・・・くくく・・・だっせぇ奴」

 横にでっぷりとした、吉川信汰そう言った。

 「やっちまおうぜ、こういうウジウジした気味の悪い奴は腹が立つんだ」

 「俺もジメジメ野郎は気にいらねぇし、賛成だな」と、笑った山崎祐が自分が今まで

飲んでいた、紙パックのジュースを晃に向かってかけ流した。

 「・・・・・・!!」晃は、何がおきたか把握できないような表情で頬を伝うジュー

スを手の甲で払った。

 「アハハハハ、お前思い切りいいなー。伊藤ジュースまみれでやんの」と、金沢一樹

が腹を抱えて笑う。

 晃は、涙を流しそうになるのを必死にこらえた。自分が物凄く惨めに思えて、その場

で腰を降ろしたまま立ち上がれなかった。

 「立てよ、伊藤」

 「・・・・・・。」

 晃は、悔しさと惨めさで口を開けなかった。

 「立てって言ってんだろうが!」

 逆上した金沢が、手加減なしの蹴りを、サッカーボールでも蹴る様に晃のみぞおちに

叩き込んだ。

 「・・・・・・・ぐはっ・・!!!」

 みぞおちから全身に向かって衝撃が駆け巡り、呼吸が出来なくなった。

 まだ苦しさから解放されない晃を、吉川は襟を掴んで無理矢理立ち起こした。激痛に

悶え苦しむ晃を、吉川は左隣の金沢へと弾き飛ばす。

 「金沢、パース」「オーケイ、ほら山崎」と、金沢は山崎に晃を押し出す。

 「よこすんじゃねぇよ!」

 山崎は、短い足を出して晃の背中を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた晃は、金沢の足元

に倒れこんだ。

 「また寝ちゃうのかい、伊藤君」と、金沢は晃の後頭部に汚い足を乗せて、踏み込む

様にしてジリジリと押し込む。

 「起~き~ろ~よ」金沢が晃の頭を軽く足でこずく。

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